法主さんの日常  ”法主さんは勤勉?”


      法主さんは一見すると投げやり   
          実際は勤勉を絵に書いたような方   

                       
     この7年間に休日を1日も取られない
       勤勉に勤勉を重ねて毎日が勤勉そのもの


 観音院に来て7年が過ぎようとしています。法主さんの食事とか洗濯など、
大半は私の仕事です。奥様は体調が悪くて、毎日医者通いですから、無理は
出来ません。職員全員で法主さんの身の回りを世話しています。
 法主さんは、見かけによらず健康で、風邪を引かれたことを知りません。
健康管理も徹底していて、徹夜などは余程のことが無い限りされません。
贅沢なことは申されませんし、職員と同じ物を食べ、一番頑張っておられ
るように思われてなりません。

■何処にもパソコンを持参して
     気抜きは1時間か2時間くらい■

 法主さんはプライバシーが完全に無い方です。外出される時は職員か役員さ
んが同行します。
 車で出掛けられる時は問題を担当している職員、船で出掛ける時は私が大体
同行します。
 来いと言われれば何処でも出掛けられますが、小食ですから、お呼ばれは苦
手のようです。普通の人の3分の2くらいです。
 気を使ってご馳走を出されると困られるようです。火を通した物なら何でも
食べられます。蒲鉾も油で焼いた物を好まれます。一旦火を通した物でも、店
先に並べられた物は再度火を通します。
 例外は刺し身で、鮮度の新しいものなら箸を出されます。山葵(わさび)に
は殺菌作用があると言われます。本当です。生物(なまもの)で例外は「大根
おろし」くらいでしょうか。
 ニンニクは中国やタイ、韓国などでは平気で食べておられましたが、国内で
は原則として食べられないようです。
 もし、法主さんを招待されるなら、味噌汁、漬物、お粥が朝昼。晩はそれに
魚の焼き物くらいで、あまり気を使われない方が喜ばれるようです。
 特に好物と言う物はありませんが、鳥の足に銀紙が巻いてある料理、内臓類
は駄目なようです。
 ですから、寺では若い人はこれでは体力が持ちませんので、時にはすき焼き
などをすることもありますが、法主さんも少しは食べておられるようです。
 皿一杯の山盛りは見ただけで満腹になられるようです。易しいようで難しい
ところがあります。
 肌着は毎日、どうかすると朝晩着替えられます。タオルや手拭きは二度は使
わないのが観音院の習慣になっています。
 観音院の職員で外国に旅行して、水当たりした者は誰もいません。

 日常の照明は明るい方が好きで200ルックスはありましょう。自室には40
Wの昼光色か電灯色2本を使っておられます。
 室温は夏冬26度で、これは常識では考えられない管理をしています。2台の
冷暖房で、片方は暖房、片方は冷房、両方とも26度に設定してあって、上げ過
ぎず、下げ過ぎないようにしておられます。
 空気清浄機は容積当たり倍から3倍の物を使用し、換気扇は24時間回してお
られます。 加湿機も使用され、秋や春の気候の変わり目には特別に注意して
おられるようです。
 法主さんの悪癖はご自分で喫煙だと言われます。灰皿は密閉出来る回転型で、
寝煙草は絶対にされません。乗り物は禁煙席です。
 煙草は空気の綺麗なところでないと不味いと言われる勝手なところもありま
す。観音院は全面禁煙ですが、喫煙される方は法主さんの部屋で吸って下さい。
 ヘビースモーカーですが、突然禁煙されることもあり、理解できないことが
沢山あります。

 テレビやビデオ等は殆ど見られません。中央公論と文芸春秋、後はニューズ
ウイーク、日経BPのコンピュータ・パソコン・マルチメディア・ビジネス・
ベンチャーなど、それに日経新聞を購読されていますが、全部は読まれません。
 新聞は必要な箇所を切り抜きで差し上げています。
 書籍は佛教関係のものを丁寧に読んでおられるようです。書物は大切にされ
ていて、食事と同じように合掌して読まれます。
 ところが、法主さんには誰にも手が付けられないような奔放なところがあっ
て、ふぃっと出て行かれて、表札を見て歩かれる趣味があり、携帯電話かノー
トパソコンを持っておられるので行方不明では無いのですが、心配します。

■時々外を歩いて見たい
       乞食(こつじき)をどうする■

 菅笠がなくなったら、法主さんは世間視察中です。時にお坊さんやら乞食や
ら、軒先に立ってお経を上げて布施をもらって歩いている人を見たことがある
でしょう。
 公衆電話の中で寝ることも、寺の軒先やら縁の下で泊まるくらいは平然と、
いいえ勤勉になさる方ですから困ります。
 2日や3日は風呂に入らなくても平気、こざっぱりしておられる習慣が、こ
れはもう本物の浮浪者と同じで、帰って来られたら悪臭が漂うこともあるくら
い、酷い家では塩を撒かれ、時には「うるさい、あっちへ行け」と言われたり、
悪餓鬼に水を掛けられたり、それでも親切な家で風呂に入れてもらわれたり、
洗濯してもらったりで、岡山や香川、愛媛は乞食(こつじき)が遣りやすいと
言っておられます。
 もって出られるお金は3万円くらい、ホテルや旅館や知人宅は利用されませ
ん。まあ一週間も寺を空けられることはありませんから仕方がないと諦めてい
ますが、身体を大切にされる方ですが柔な方ではありません。
 ですから世間や人情の移り変わりは良くご存じです。
 今治の何処かの家が立て替えられたとか、小豆島の寺がどうとか、多度津が
変わったと言われても良く分かりません。
 それでいて帰られた時にお金は大体倍くらいになっていますから乞食も本職
なのでしょう。
 全く知らない人を連れて帰って「この方は昔にお世話になった方の息子さん
だ」と本当の浮浪者を連れて帰られたりして、職員は本気になって面倒を見ま
す。
 その面倒を見た方から「あの人は、ここの誰か」と聞かれて呆れることも、
2、3度ありました。
 法主さんはどうしてこの世に来られたのか、それが分かればお世話も易しい
のですが。

   ※法主さんは観音院で身体が一番丈夫な方ではないかと思います。
    ただ、大工でも土方でも何でもできる方ですから、生命力は凄い
    と思います。先般も、行き着けの店でドアの開閉を代わってやっ
    てやろうと言っておられたとか、がっちり固めているつもりです
    が、自由奔放気儘には打つ手がありません。

   ※最近の携帯電話は電池の性能が良く一週間は大丈夫です。緊急の
    場合は連絡すれば片道5時間が行動範囲で、瀬戸内なら、こちら
    から迎えに行っても2時間あれば顔が見えます。無謀な行動は決
    してされていません。

   ※表の法主さんと裏の法主さん、善悪の意味ではありませんが、生
    き方に理解不可能な差があって、並の神経では付き合い切れませ
    ん。何も無くても生きて行けることを実際に証明されるのですか
    ら、周囲の人間はたまったものではありません。凄さを通り越し
    て、目茶苦茶ですが優しい人なんです。

   ※法主さんが出掛けられる時は常備薬を必ず日数分は用意しておら
    れますから、注意していれば放浪の日数は推察出来ます。携帯電
    話の予備を持って出られた時が注意です。運が良い人は出会って
    家に連れて帰れます。

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