如 是 我 聞 (にょぜがもん=是の如く我聞けり)

              文責 能島慶華 −観自在97.12月号

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    不景気と関係がある日本人の国民性
        無責任な人と生産しない人たちが激増
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 日本は良い国でした。貯金をして置けば十年で利子と一緒で倍額
になる。医療は保険で安い、道路や新幹線は、着々と整備される。
一家に二台の自動車、一人に一台のテレビ、冷暖房は当たり前、給
与は年々増えて行く、土地を買えば放って置いても値上がりする。

 その付けが一辺に吹き出してバブルは崩壊、金利は雀の涙、年金
が貰えるかどうか分からない、お役人が多くて破産状態の町、いい
え国だって四百兆円を越える財政赤字、一銭の借金が無い人でも、
国が知らぬまに一人当たり四百万円を超える借金を拵えてしまって
いたのです。

 お金のことは、さておいて、日本人は思いやりの無い、無責任な
人が多くなりました。銀行や証券会社、大手ゼネコン、超優良企業
までが腐敗し堕落し、談合し、闇の世界にお金が流れ、国も地方自
治体も立派な庁舎等を造り、使われもしない豪華建物を作ることが
自慢で、これって全部、税金の無駄遣いだったんですね。

 橋本さんとかいう総理大臣が行政改革なんて言いだしましたが、
官公庁の抵抗と族議員の抵抗が凄まじいもので、公僕なんて、とん
でもない話、国民の尻の肉を切り取って焼肉にしているような有り
様ですから、国民は家畜なみ、当分はどうにもならないでしょう。

 子供がどんどん減って、学校が倒産寸前。病院は青天井の治療で
医師は糖尿病に高脂血症になって当然なのに、馬鹿高い医療器具を
競争で購入して、倒産したり、医療費を誤魔化す方もいて、何だか
不気味でノイローゼ気味ですね。
 お医者さんもいい加減です。告知は大抵が責任逃れとしか思えな
いような病状の説明、あれで気絶仕掛ける家族も少なくありません。

 日本の護送船団方式が、にっちもさっちも行かなくなって、横腹
に大穴が開いている組織や企業やお役所が一杯。
 だけではありません。住宅ローンというのが曲者、消費者金融も
怪しい制度、多重債務者の破産と復権、弁護士さんも高徳な方が少
なくなりました。
 何かと言えば「しんどい」、疲れた、辞めますと言う日本人。
 礼儀正しく、勤勉で、誠実で、約束を守れる日本人はとても少な
くなりました。
 自由にやりたい、秩序が嫌い、他人に嘘を突く、金儲けは好き、
出来るだけ楽をしたい、勉強や努力は大嫌い、猥褻で賭博が好きな
人たち、能無しのくせに要求だけは人一倍、守られない法律が放置
されていて、それで取り締まる警察官もやってはおれないだろう。

 教育はもう、駄目人間の大量製造施設に変化してしまいました。
ろくに倫理観も無い親が育てた人が教師になって、子供に何を教え
ているのか、さっぱり分からない。
 道徳心を失って、何でも責任転嫁する保護者が子供を学校に預け
て、事があれば、学校と社会に責任のなすり合い、その親が無責任
に働き、何でもかんでも欲しがる風潮。
 もう日本は「くれくれ根性丸出し性格」になってしまった。


   それでも日本人を辞められない
       ならば、どうするか考えよう

政治家も官僚も、この際、思い切って70パーセントは削減する。
医師や弁護士は、五年おきに資格試験を受けさせて、落第したら
資格を取り上げる。
公務員も市民が資格審査をして対応が適切でないものは解雇する。
宗教法人や社団法人などは徹底して経理を公開させる。不正があ
れば、法人を解散させる。

このようなことは一寸思いついたことだけど、日本の物価は高過
ぎる。流通には思い切った革新が必要になります。
 一番いけないことは、ぬるま湯環境、これで精一杯やっています
と、逃げ口上が言える環境がごろごろしている。大半の会社の電算
室なんて、あれはブラックボックスです。仕事をしてもしなくても
仕事をしているように見える仕組みになっています。

 日本の会社の電算室や大学の電算室はアメリカに比較して十年は
技術が遅れています。
 インターネットというのが、始めてみたら、これが、とんでも無
い代物。元々は軍需用に開発された技術ですが、日本は平和ですか
ら防御態勢が出来ていないし、その発想も無い。

 ハッカーだとかクラッカーだと大騒ぎしているが、何処かの大手
の新聞社の気象番組に猥褻画像をはりつけられて、警察に手を貸し
てもらって片づける。これは技術力の低さを証明する以外の何者で
もありません。
 国立クラッカー養成所を拵えて、無防備な電算システムは一瞬に
して破壊されるような防御システムを開発しないと、皆さんの預金
口座のお金が無くなったり、最悪の場合は「この世に存在しない人」
にされかねないのが現実です。
 何処かの国のように、唾を吐いたら罰金、車に傷を付けたら鞭打
ち刑というのも反対ですが、悪いことをしたら叱れる大人が増えな
いと、もうわやわやです。

 ところで、叱れる大人の育成が難しい、叱る基準、してはいけな
いことの基準をもって居られないぼんくらばかりです。
 せめて、では、法律でという発想も無理ですね。躾けや子育て、
親切にすることなどは、法律に馴染みません。戦後の教育が日本を
徹底して駄目にしてしまいました。
 お爺さんやお婆さんが遠慮しながら戸惑って現在の親を育てまし
た。その親が子供を可愛がり過ぎて、過保護か放置で子供を育てた
わけ、育てられた子供が、子供を産みつつあるのが現在です。

 どうしたら良いか、これは難しい問題です。破綻した日本の経済
を建て直すような知恵は、残念ですが、法主さんには無いそうです。
 ですが、せめて「ご縁があった人たち」には、如何に子供を育て
るか、これから、どのように生活を設計するか、その心構えを教え
て上げたいと願っておられます。
 でも、これが実は観音院の現実でも大変なことなんです。先ずは
専従職員から再教育をしなくてはなりません。
 観音院が良い人が多いなんて、とても、そのような評価は法主さ
んからもらえません。
 先ずは足元から、倫理観を高めて、勤勉である模範となり、親切
を世間に広めて行かなくてはなりません。観音院は今、非常事態宣
言が出されているのです。

 良く拝みます。葬式代は日本一低廉にして、且つ丁重にしました。
専従職員は「ご縁があって」観音院に入れたのですが、「ご縁」が
何かを忘れつつあります。
 御佛様に救ってもらって今日があるにも関わらず、不平や不満、
自己主張、怠惰な考え方が蔓延しつつあります。
 いつの間にか、自分さえ良ければ、それで良い、自我の主張、我
の張り合い、御佛様の教えを学ばない、何となく生活出来る場所に
してしまっては、法主さんが最も嫌悪される堕落僧侶の住処となっ
てしまいます。
 ご縁を忘れて、観音院を職場のように思い、奉仕を忘れた人には
気の毒ですが、去って貰わなくては、世の規範となることはできな
いと法主さんは強い決断をなされたようです。
 観音院の変化にご期待を賜りますよう。


人が相手や周囲の事情を考えずに行動することを「わがまま」と
 言いますが、その上に怠惰であり、礼節を失い、物を粗末にする、
 他人の心を悲しませて平気になる。組織も家庭も成り立たないほ
 どに好き放題なことをする人が多くなりました。
 道徳の復興と報恩積善、協調を失うと犬に劣る社会です。

自然の恩寵(おんちょう)を大切にする。自然を破壊しないように
 地球を大切にする。このような考え方を持たないと環境が劣悪と
 なり、やがて、人が住めない地球となります。人は太陽の恵みを
 浪費しない謙虚さが大切。地球の声を聞け。

悪いことを悪いと指摘することは勇気のいることになった。
 叱るべき時に叱れない年長者が増えた。これでは、わがまま放題
 の人間が増殖する。青年よ謙虚になれ!年寄りは勇気を出せ!親
 は我が子に責任を持てと言いたい。

早いもので今年も後一ヵ月、観音院は少しは皆さんのお役に立て
 たでしょうか、少しは進歩したでしょうか、そのようなことを考
 えながら、来年が皆様にとって良い年になるよう真剣に祈ってい
 ます。今年よりは来年と努力を続けて参ります、皆様のお寺とし
 て、宜しくご指導賜りますよう願い上げます。


前稿/1997年11月号


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