◆納(おさ)めのご縁日
十二月のご縁日(えんにち)は「納(おさ)めのご縁
日」といわれます。十二月を無事に納めて頂き、お正月
を縁起良く始めさせて頂くためにご参拝下さい。
年末は特に、なにをするにも時間にゆとりをもってお
暮らし下さい。事故や怪我の無いように、体調を整えて、
風邪を引き込まぬようにお大事にして下さい。
温かい食事時には、気分も少しほっとしますが、冬菜(ふゆな)
の美味しい時季で、鍋物に漬物に野菜を摂るのに適しています。
冬場に見られる白菜、小松菜、芥子菜、水菜、ホウレンソウや杓
子菜(しゃくしな)、体菜(たいさい)などをいうそうです。冬菜
をざっくり切って鍋物に入れて煮詰まらないうちに頂く、皆さまも
たくさん召し上がって滋味を楽しんで下さい。
用事を済ませて、暖かくして机に向かい、一時ほど文を書いたり
読書するのも落ち着きますね。
◆寒空に咲く花がいとおしい
花屋さんには室咲(むろざき)の美麗な花々が匂っていますが、
日当たりの良い所では、冬菫や名も知らぬ小さな雑草の花が可憐に
咲いていることがあります。
枇杷(ビワ)は小さな白い五弁の花が、密生した茶色の毛に守ら
れるかのように咲いていて、寒い時季らしくお似合いですね。
冬桜〔寒桜〕は花も疎(まば)らに、寒空に薄桜色の梅に似たか
の端麗な花を咲かせます。
早春の梅は香り高く春の訪れを感じさせますが、冬の梅は冬至梅、
寒梅〔カンバイ〕などといわれています。蝋梅〔ロウバイ〕は唐梅
〔カラウメ〕ともいわれますが、葉の無い枝に、繊細な蝋細工のよ
うな黄色の花をつけ、二重の花びらは可愛く良い香りがします。
冬でも比較的に暖かい海に近い地方では菊科の石蕗(ツワブキ)
の黄色の小花を見ることがあります。十二月の暦花で、葉の形がフ
キに似ており、艶(つや)やかに光っていることから艶蕗と言われ
るようになったそうです。
野山は冬枯れですが、松や柏、杉など常緑樹は凛(りん)として
美しい緑を誇り、寒さにも相応しい風情ですね。古来常磐木(とき
わぎ)といわれ、一年中、緑の葉を保つ木は好まれて来ました。
厳しい寒さをしのいでいる樹木を冬木(ふゆき)、冬木立という
そうです。寒風に揺れる枝々にはよく見ると、もうすでに冬芽もあ
り、春待ちの息吹があります。
『庭の薮柑子(ヤブコウジ)は植木好きな母が山より持ち帰った植
物で、一年中、凛として何とも言えない風涼な庭木になりつつあり
ます。広島市西区 M・Mさん』
◆野山の草木も冬に耐える
花の少ない季節、寒風の吹く野外で、木の緑の葉に隠れた赤い実
などを発見すると、なにか嬉しくなるものですね。
藪柑子の赤い実が愛らしく、常緑の小さな木で、高さ約一尺くら
い、夏に花を咲かせ小さな珠のような実を結んで、冬になると、こ
の実が紅く熟します。そこからでしょうか、アカダマノキとも、深
見草などともいわれます。漢名は何故か紫金牛というそうです。
冬の緑には千両や万両、万年青、南天の緑の葉と赤い実の対比、
白い実も可愛いものですね。
南天〔ナンテン〕は「難転」という字音と同じで縁起の良い木と
して、生け花に用いられ、庭木にもよく植えられています。漢名は
「南天竹」というそうです。
※皆さまからのご投稿の紹介※
◆吉岡正毅さん〔北九州市〕
「…大自然の大いなる愛にふれて心の傷を癒され、なぐさめられる
人々も多いことでしょう。家々の窓にともる やわらなか光に、凍
る心に、ふと温度を感じる人々もいるかもしれませんね。」
◆白川美昌さん〔広島県安芸郡〕
年かさね装いばかり若返り
降り積もる雪ふみわけて犬の供
◆すみれさん〔安佐南区沼田〕
豆絞ワッショワッショで秋終る
三世代肩揉みあひて冬支度
◆高橋昭三さん〔安佐北区可部〕
誰彼のどんぐり見れば拾ひけり
たらちねの母ゆずりなる柚釜かな
草の花許多摘みてはみしものを
◆鶴岡九晃さん〔中区南千田〕
大晦日今年の芥を掃き清め
年越しのそばで長寿を祝はれる
吉祥と言われる雪が降り始め
心暖かい気持ちで末年始を過ごされますように御佛様の
ご加護をお祈りいたします。 純照 記