■年末を迎えて、この一年を回顧(かいこ)すると厭(いや)な出来事 が続いて起きて、厄年だったかもしれないと思う。 ▼私は新聞もあまり読まないし、テレビも殆(ほとんど)ど見ない。 だがペルー大使館人質事件から、酒鬼薔薇事件、奇怪しな参議院比 例選挙、前科国務大臣の登場、エルニーニョ発生と東南アジアの森 林火災、あい次ぐ航空機や列車事故、タイ国のバーツ下落と香港市 場の混乱、ニューヨーク市場の株式ストップ安と日本の証券市場の 混乱。加えて金融機関の安全神話の崩壊、大手証券会社の不祥事、 ゼネコンの不祥事、すっきりしない行政改革、どうなっているのか。 ■それらの原因が全て突発的なことではなくて、人間の腐敗堕落、 教育の貧困、倫理道徳心の低下、馴れ合い談合の永年の蓄積で末期 の状態、かてて加えて消費税の値上げで、政治不況と言える哀れな 状態である。 ■今年の重大ニュースなんか興味もなければ、思い起こすことも厭 なことばかりの連続であった。 ■嗚呼(ああ)、厭だ、厭なことだと嘆いてみても、四百四十兆円の 財政赤字が減るわけでもない。無借金の人でも、隠れ借金が一人頭 四百万円も国が勝手に作ってしまった。 ▼この上に新幹線を建設したい馬鹿も多いし、海も埋めてしたい、 建物も豪華なものが建てたい、一向に減らないお役人に、天下りの 横柄な公僕。さみしいことだ。 ■その上、日本の災害は世界の十%を超えるありさまとか、年金は 先行き不透明、医療費は倍になって、善いことと言ったら喫煙率が 少し減少したくらいだけだよ。 ■いつの間にか日米共同防衛ガイドラインなるものに日本が組み込 まれて、近隣諸国から警戒されるし、善いことは何にもない。 ▼あーいやんなっちゃったぁなんて、みんなで歌でもと手拍子取り たいところだけど、これで打ち止めにはならない最後の打ち止めの 厭なこともありそうだ。大凶の底が抜けてくれれば有り難いのだが、 これで半分しか抜けてなかったりして、来年から再来年にかけて底 が抜けつつあるとしたら、これは大変なことになるね。 ■今年の正月も夏越しの厄除けも、一生懸命に拝みましたから、ご 祈願された方には少しはご守護があったと思います。世界の経済を 廻すほどの願力は私にも住職にもありません。でも相当に熱い祈願 をしたから、少しは良いことも有ったことと思います。 十二月から、平成十年の厄除けと皆さんの願望成就を御佛(みほと け)様に拝みます。ご家族お揃いで参詣下されますように。 ※思いっきり愚痴ったから少しは気分が楽になった。でもね、拙僧 (せっそう)には辛いことや悲しいことは一つも無かった。それは ね、何か小さな厭なことがあったかもしれないが、もう全部忘れ てしまった。風邪は十年も引いていない。どちらかと言えば今年 も幸せな年であったと有り難く思っている。御佛様のご守護だ。 ※悪い悪いと思えば、なおさら悪くなる。これが普通だと思うか、 これから始まりと思い、先を取り越し苦労しないことだ。何とか なるだろうと思って、努力して、その上に御佛様から「良い運」 をもらうようにすればよい。 ※良い運はね、御佛様やら、他人からもらうもの。ぼた餅みたいに 落ちて来ないの。信ずる者は救われるって言うだろう。あれだよ 肝心なのは、猜疑心や詮索、不信感が不運や不幸を呼ぶの。観音 様を大切にね。