◆願いを言葉とするとき◆ 二月は節分、立春と暦は春となり ますが、余寒(よかん)厳しくも、 空気の清らかな月です。 日ごとに明るさを増し、固い蕾は 膨らみかけて、草木は萌芽(ほうが) の兆(きざ)しが見られ始めます。 ひとも何か良きことの兆しを見出し たいような、待ち望んでいた春光の 予感する月です。 お寺では冬でも百合や菊、ガーベラ、フリージア、スイトピー等 皆さまによってたくさんの花々がお供えされていて、常春のようで ございます。主木には緑の葉美しい高野槇〔コウヤマキ〕をお供え いたします。高野六木といわれるのがありますが、高野槇・杉・檜 ・赤松・樅〔モミ〕栂〔ツガ〕の六種の緑美しい針葉樹をいいます。 花の姿は全て物静かで麗しく、清らかで、わたくしたちの心和ら げてくれますし、緑は目に優しく心爽やかにしてくれます。 アジアの東にある島国の日本は、温暖で四季があり、慈雨多く、 美しい緑の滴る国土ですが、この豊かな大地を、子孫の代に美しく 残してまいりたいものです。 ◆節目は心爽やかに暮らす◆ 節分は本来は年に四回ありますが、春前のこの節目には、古より 人々は豊饒(ほうじょう)と厄除(やくよ)けのお願いを持って、 真摯な祈りを捧げました。 目標を立てて祈るときは、善き言葉で自分の思いを表明し、願い 続けることが大切です。 粗雑な言葉は、だれが聞いても不快なもので、神仏さえも厭(い と)われることになります。 季節の節目には心に善い思いを持ち、善い言葉を口にし、明朗に 過ごしましょう。大自然や宇宙に畏敬の念を持ち、親しい人々と仲 良く暮らして参りましょう。 ◆早春のさわやかな花の輝き◆ 黄梅〔オウバイ〕は迎春花ともいわれ、モクセイ科の花で、春早 く鮮やかな黄色の花を、葉が出る前の枝に愛らしく咲かせます。 マンサクの花は万花に先駆けて四弁の細い黄色の花弁を咲かせ、 豊年満作を兆す花です。 猫柳は川辺によく自生したり、植えられることも多く、銀白色を した絹毛が密生していて、可愛らしく春の陽光に輝きます。 枯れ野の中に、草の芽生えを見つける、下萌(も)えの草、草萌、 草青むなどという表現がありますが、生命のいとおしさを感じます。 ◆二月八日は「事始め」◆ 二月八日は針供養の日、折れ針に感謝して供養する優しい行事で すが、事始めの日ともされています。「事始め」は農作業の最初に 田之神様をお迎えする行事ともいわれました。 皆さまも今年一年に何かしたい事を考えられ、目標を立てられて、 勉学に趣味に、頑張って楽しんでみられるもの良いものです。ワー プロでもパソコンでも何でもなされてみられてください。 ※皆さまからのご投稿より※ ◆白川美昌さん〔広島県安芸郡〕 こめかみをきりり刺したる寒の水 片手づつ手袋わけし雪小路 嘗められてネコに起さる冬の朝 ◆田中智華さん〔広島市佐伯区〕 茜さす朝日のぼりて軟らかに みほとけの如 初春をことほぎ出ずる鳥舞いて ◆山口ツキミさん〔広島県阿多田島〕 「今年も長寿会活動で墓地掃除をしました。 そこで短歌をしたためてみました。(短歌二首)」 今年又墓地も住居も掃き浄め 先祖と共に分かつ幸せ 墓地掃除今年も無事に過ぎし日を 先祖に感謝し喜び合いて ◆鶴岡九晃さん〔広島市中区南千田〕 雪解けて心のうちも春となり 福は内鬼も陽気な顔で来る 福まきの福を貰いに寄って来る