[総合目次][民の声] [観音院門前町] [バーチャル霊園] [寺子屋]
[観音院][観自在] [English]


二月の歳時記 如月(きさらぎ) 田川純照


願いを言葉とするとき
 二月は節分、立春と暦は春となり
ますが、余寒(よかん)厳しくも、
空気の清らかな月です。
 日ごとに明るさを増し、固い蕾は
膨らみかけて、草木は萌芽(ほうが)
の兆(きざ)しが見られ始めます。
ひとも何か良きことの兆しを見出し
たいような、待ち望んでいた春光の
予感する月です。

 お寺では冬でも百合や菊、ガーベラ、フリージア、スイトピー等
皆さまによってたくさんの花々がお供えされていて、常春のようで
ございます。主木には緑の葉美しい高野槇〔コウヤマキ〕をお供え
いたします。高野六木といわれるのがありますが、高野槇・杉・檜
・赤松・樅〔モミ〕栂〔ツガ〕の六種の緑美しい針葉樹をいいます。

 花の姿は全て物静かで麗しく、清らかで、わたくしたちの心和ら
げてくれますし、緑は目に優しく心爽やかにしてくれます。
 アジアの東にある島国の日本は、温暖で四季があり、慈雨多く、
美しい緑の滴る国土ですが、この豊かな大地を、子孫の代に美しく
残してまいりたいものです。


節目は心爽やかに暮らす
 節分は本来は年に四回ありますが、春前のこの節目には、古より
人々は豊饒(ほうじょう)と厄除(やくよ)けのお願いを持って、
真摯な祈りを捧げました。
 目標を立てて祈るときは、善き言葉で自分の思いを表明し、願い
続けることが大切です。
 粗雑な言葉は、だれが聞いても不快なもので、神仏さえも厭(い
と)われることになります。
 季節の節目には心に善い思いを持ち、善い言葉を口にし、明朗に
過ごしましょう。大自然や宇宙に畏敬の念を持ち、親しい人々と仲
良く暮らして参りましょう。


早春のさわやかな花の輝き
 黄梅〔オウバイ〕は迎春花ともいわれ、モクセイ科の花で、春早
く鮮やかな黄色の花を、葉が出る前の枝に愛らしく咲かせます。
 マンサクの花は万花に先駆けて四弁の細い黄色の花弁を咲かせ、
豊年満作を兆す花です。
 猫柳は川辺によく自生したり、植えられることも多く、銀白色を
した絹毛が密生していて、可愛らしく春の陽光に輝きます。
 枯れ野の中に、草の芽生えを見つける、下萌(も)えの草、草萌、
草青むなどという表現がありますが、生命のいとおしさを感じます。


二月八日は「事始め」
 二月八日は針供養の日、折れ針に感謝して供養する優しい行事で
すが、事始めの日ともされています。「事始め」は農作業の最初に
田之神様をお迎えする行事ともいわれました。
 皆さまも今年一年に何かしたい事を考えられ、目標を立てられて、
勉学に趣味に、頑張って楽しんでみられるもの良いものです。ワー
プロでもパソコンでも何でもなされてみられてください。

皆さまからのご投稿より

白川美昌さん〔広島県安芸郡〕
    こめかみをきりり刺したる寒の水
    片手づつ手袋わけし雪小路
    嘗められてネコに起さる冬の朝

田中智華さん〔広島市佐伯区〕
   茜さす朝日のぼりて軟らかに みほとけの如
   初春をことほぎ出ずる鳥舞いて

山口ツキミさん〔広島県阿多田島〕
「今年も長寿会活動で墓地掃除をしました。
 そこで短歌をしたためてみました。(短歌二首)」

   今年又墓地も住居も掃き浄め 先祖と共に分かつ幸せ
   墓地掃除今年も無事に過ぎし日を 先祖に感謝し喜び合いて

鶴岡九晃さん〔広島市中区南千田〕
    雪解けて心のうちも春となり
    福は内鬼も陽気な顔で来る
    福まきの福を貰いに寄って来る

前月/一月の歳時記


ご感想やご質問はこちらに


観音院のトップページ月刊「観自在」の目次