桜の美しい日本の四月、暖かく、春の花々が咲き匂います


四月の歳時記 卯月(うづき) 田川純照


ゆったりとした春の陽に

 明るい春の日差しに、草木の浅緑は輝き、
街を行く人々の装いも、すっかり春らしく
なりました。
 世の中は不祥事の露顕が続き、ダイオキ
シンなどで環境の破壊も深刻なことが報告
されたり、良い話題が少ないなかに、桜を
はじめ春の花は潔く咲き匂います。

 長閑な(のどか)日にの花びらが散る風情、良いものですね。
桜を見て、しばし憂さを晴らして慌ただしい四月を送ります。
 お寺では毎年、春近く、まだ肌寒さの感じられる頃になりますと
(今年は暖冬だったので三月の初め頃)、ご本尊さまに桜を数枝を
お供えくださる方がおられます。
 そのお供えの桜は、毎年のようにたくさんの蕾をつけていて、そ
のすべての蕾が花を咲かせます。清楚な薄桃色の桜の花がご本堂の
中で満開になります。
 その桜は朝、夜明け前にはさながら花明かりのように美しい、と
院主さまはおっしゃています。その桜は、今年も長く花を咲かせて
至上のご供養となりました。

暦も春らしく、さわやかに

 四月五日は清明(せいめい)、文字も日本の春らしい暦ですね。
二十日は穀雨(こくう)、穏やかな春雨が降って百穀を潤すという
意味があるそうです。
 連休前の二十三日からは「みどりの週間」が始まります。緑は水
をたくわえ、土地を肥やします。温暖で雨が多く、山野の緑豊かな
国土、美しい川と湖沼、美しい海、一億余の国民をはぐくむ狭くて
広い大地、この日本の宝を大切に子孫に伝えたいものです。

 日常の生活のなかで出来ることから、自分の習慣にすると良いと
思います。買物に行くときには買物カゴや袋を持って出るようにし
たり、ゴミをより少なくするように工夫し、あるいは、余分な調味
料等を洗い流して家庭排水を増やさないように、という配慮もとて
も大事なことです。
 浪費を慎むという堅実な生活を楽しく暮らし、心の豊かさを次の
世代に伝え、自然の豊かさを守ってまいりたいものです。

四月、明るく目標を持って

 太陽の光も日増しにふえて、陽光に心も明るくなります。草木も
美しい鮮やかな若緑色に冴え、花も多く、人の心を包んだ街の服装
も明るい彩りで軽快な四月です。
 春霞の立つ、暖かく穏やかな気候のなか、草木の花は次々に咲き
始めます。一日の慌ただしさを終えると、大気も静まり、夜空には
おぼろ月、ゆったりとした雰囲気です。春風駘蕩、落花流水、春の
気は充実してまいります。
 春咲く花の美しく柔和な姿は、人の荒れた心をいやします。人は
仕事や家庭、勉強などの自分の緊張の世界とは別な安らぎを求める
といいましょうか。

 四月は花まつりですが、ご法要に会われて、み佛さまにお参りさ
れていると、しだいに心の緊張と解放に上手になられる方が多いよ
うです。生きることには、ままならぬことが多いものですが、愚痴
を言わず、ものごとを悪く思わぬためには、上手に気分転換しなが
ら生きることが大切ですね。
 春の陽気に体調を調えて、心若々しく自らの向上と希望を失わな
いでいて頂きたく思います。
 新しいことに興味をもって勉学し、生活の中にすこし新鮮な空気
を入れ、ご自身がさわやかな風に吹かれてみられて下さい。

皆さまからのお便りとご投稿

*佐々木清子さん〔横浜市〕
「お正月に参拝致しました時には色々有り難うございました。…
観自在に法主さまのご法話が連載になり毎月心安らぐ想いで拝見さ
せて頂いております。御体を大切にされ、家族一同お導き下さい。」

*白川美昌さん〔広島県安芸郡〕
  敷きつめし桜ふみえずまわり道
  ぼんぼりや粛々と散る桜かな
  春の日やこっくりこっくり何処までも

*田中智華さん〔広島市佐伯区〕
   何気なく庭に出ずれば木蓮の匂い漂い我が身を包む
   梅の香にふと立ちどまる春の風

*つばきさん〔京都市左京区〕
   子犬でも「猛犬注意」の札貼られ
   地元アナ叫ぶが如く実況す
   就職が決まれば旅も軽やかに

*鶴岡九晃さん〔広島市南区千田〕
  お花見は四月三日にした昔 (是は広島地方の習慣でした)
  蝶になる毛虫生まれる暖かさ
  雑草もここぞと花を咲かせたり


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