如是我聞 其の三

                  文責 能島慶華

「葬儀代の御布施が全部で5万円は?
     葬儀社に対する支払い30万円目標は?」


 お年寄りが「葬儀代くらいは残して置かないと」とよ
く言われますが、葬儀の規模にもよりましょうが、この
ようなことを考えるように何時からなったのでしょうか。
 核家族化の傾向に拍車がかかり、加えて少数子の家族
構成、親族が遠い、親子が離ればなれで暮らしているこ
と。遠くの親戚よりも近所の人という諺もあったのです
が、マンションなどに住んでいると隣の人も知らないこ
ともあり、お年寄りの孤独死の新聞報道もあり、高齢者
は心配なことが多過ぎます。



  −半数近くが死後1週間も経って
      死後19日後に発見された例も−


一人暮らしの人は登録を
      困り事や悩み事の相談にも


 アパートの持ち主に頼まれて死後何日経過したかも分
からない、なかばミイラ化した人の葬儀をして上げたこ
とがあります。
 このような場合、民生委員や町内会長さんなどが世話
をされて葬儀をされているようです。
 このような時に一方的に市町村の対応や、民生委員、
町内会などを責めることはできません。
 子供さんが遠くに住んでおられて、時々、子供さんの
家に行かれて留守の場合がある。
だから、人の出入りが無くても、不思議に思われない。
 一晩中電灯が付いているとか、新聞受けが一杯になっ
ている、いろいろと不審なことが沢山あって、家主が戸
を開けて、死んでおられるのが見つかるというようなこ
ともあります。

 −死にかかっている人を
       放置するような隣人はいない−


 世の中が薄情になっているのは確かですが、一人で暮
らしている人が「具合が悪い」とか、何かで困っておら
れる場合に、知らぬ顔をしているほど世間は薄情ではあ
りません。
 家の中で骨折して動けなくなるとか、脳梗塞などで意
識が無くなる・・・。周囲の人がだれも知らない。
 このような場合に独り身ですとどうにもなりません。

▼法主さんは調子が悪い時や疲れておられる時に、寝る
一時間くらい前にアスピリン系の風邪薬を錠剤を半分に
して飲んでおられます。
 法主さんは「脳梗塞の予防になる」と言っておられま
すが、「もしかすると、ナンセンスかな」と笑っておら
れます。アスピリンで喘息を起こす人もあるそうですか
ら真似はしないで下さい。お医者さんに内緒の話です。
 最近は午前2時くらいに26度くらいに暖房をセット
しておられます。朝かたの冷え込みを恐れてのことです。
寿命が来れば死ぬのだが、不注意で死んでは申し訳ない
と考えておられます。
 枕元に酸素ボンベを常備されていて、心筋梗塞に備え
てニトロスプレーも置いておられます。

▼アスピリンは血栓形成を抑える作用があるのは本当で
した。法主さんの使い方はどうも気休めではないようで
す。お医者さんの処方に従って飲むべきです。
 独り暮らしでなくても、これくらい注意されるのです
から、用心深さは見習うべきです。
 阪神大震災の後、早速に買い求められたのが「落下物
避けのヘルメット」。これを見て大笑いした人がありま
すが、感心した人もあります。どちらが処世態度として
正しいのでしょうか。

 人間の寿命は誰にも察知できません。ですが、皆で見
守って上げているような法主さんの用心深さは見習って
欲しいものです。

■観音院は独り暮らしの方が登録して下されば、定期的
に電話を掛けて、応答が無かったら駆けつけて上げると
か、指定された人に連絡して上げるサービスをしていま
すので、心細い人は登録して遠慮なく利用して下さい。
 東京都昭島市で生活保護を受けている人の孤独死が過
去5年間で20人もあったそうです。
 この内、心筋梗塞や心不全が8例、脳出血が4例、明
らかな凍死もあります。年齢は若い人では45歳、高齢
者は86歳です。
 60歳くらいまでは、自分は死なない、事故は起きな
い、まだまだ元気だと思いがちなものですが、孤独死の
中心年齢です。
 生活保護を受けている場合で病気がちな人にはケース
ワーカーが月に1度や2度は来てくれるかもしれません
が、裕福で広い家に住んでいる場合は危険です。
 昭島市の例はケースワーカーが訪問対象としていて起
きた孤独死であることに注目して下さい。
 阪神大震災の仮設住宅でも孤独死は起きています。高
齢化社会だから孤独死が起きているとも言い切れない難
しい問題です。
 これは、行政だけに責任を求めないで、近所の人、遠
くの親戚、僧侶も含めて、皆で協力して防ぎたいものと
願います。

▼これは責任を問う話ではありません。あるお寺さんが
月参りに行かれて、留守だったので「お伺いしました」
と名刺に書いて玄関の戸と柱の間に挟んで帰られたとこ
ろが翌日に亡くなられたと知らせがあり、あの時に戸を
破ってでも家に入っていれば、救急車くらい呼べたかも
しれないと思われたと言う話があります。
 独り暮らしの人は信頼できる人に鍵くらいは預けて、
平素と異なることがある時は家の中に入ってもらうくら
いの連絡や習慣はつけておきたいものです。
 ここで阿多田の島の例を持ち出すのは適当ではありま
せんが、ここでは孤独死なんて絶対に起きない社会にな
っています。
 誰かが病気にでもなればご飯やおかずの差し入れがあ
る。病院に入院でもすれば、病院が呆れるほどの見舞い
客がある。
 呆れる病院が最近の見舞いの少ない患者に慣れている
のです。

 子供が生まれて、遊び回って、成長して、結婚して、
病気になって、いろいろあって、やがて死んでいく、死
ねば皆で山に木を切りに行って、その木で荼毘に付す。
 このような社会が日本から失われつつあることを法主
さんは心配しておられます。
 孤独死は日本の社会の変質が悪い方向に向いているこ
とを示しているのかもしれません。


−自分の葬儀を考えておくことが大切
       願うように葬儀はしてもらえません−


■葬儀はしなくてもよい。死んだらそのまま荼毘に付し
て、お骨は海にでも撒いてくれと願われるのも立派の見
識です。
 亡くなられて24時間は火葬は法律で禁止しています。
 病院はそんなに長く遺体を預けることはできません。
自宅に連れて帰るにしても、火葬場に行くにしてもお棺
くらいは葬儀社に依頼しなくてはなりません。
 タクシーも遺体は乗せてくれません、どうしても自動
車を葬儀社に依頼しなくてはなりません。
 観音院は葬儀を依頼されなくても、ご遺体を安置され
て、家族だけでご自分流の通夜や告別式をされることを
受け入れます。
 故人の意思を大切にして、通夜や葬儀の儀式を望まぬ
人に式場を貸さないとか、余所で場所を貸してもらいな
さいと薄情なことは言いません。
 食事の世話くらいは当然させてもらいます。
 葬儀をしなくても人間は死ねるのです。ですが、散骨
に船を貸してくれる人はいません。それに適切な死者を
悼(いた)む方法でないと厳密には散骨は認められません。
人骨は、ゴミを撒くように海や山に捨てられないのです。
 アメリカは実は火葬は灰になるまで完全に焼いてもら
えます。日本は骨が無くなるまで丁寧に焼くと遺族が大
騒動をするでしょう。
 散骨するには、家族の手でお骨を小さく砕かねばなり
ません。
 なにはともあれ、日本は散骨するように火葬の仕方か
ら違うことを理解して下さい。
 灰になるまで焼くことを指定できません。

 葬儀を身内だけで済ませて、誰にも知らさなかったら、
亡くなったことを知った人が次々とだらだらと、お悔や
みに来られて、困られた家族もあるそうです。
 寅さんこと渥美清さんの葬儀は妻子3人だけでされた
そうで、これは立派なことだと思いました。
 その後の壮大な「お別れの儀式」は望んでいなかった。
静かに消えてしまいたかったと想像するのですが、多く
のファンの弔う気持ちを無視できなかったのでしょう。
 家族や関係者を非難しているのではありません。死者
は社会で人間関係をもって生活していたのですから、自
分は死んだと挨拶をする手続きが必要なのです。

■音楽葬にして欲しいと願う人があります。
 法主さんは遺言に従わず葬儀をするのなら、ソウルミ
ュージックを流してもらえないかとジョークを言われた
ことがありますが、伝統的儀式も声明(しょうみょう)
と言う古典的な佛教音楽葬と言えなくもありません。
 音楽葬を望む人は曲名くらいは指定しておくべきです。

■さて、葬儀には普通にはどの程度の費用が掛かるので
しょうか。
 過去10年間に葬儀をした人の費用の統計があります。

▼葬儀社に支払った平均支払い額は、130万円でした。
(飲食・接待費を除いた金額です。香典返しは91万円・
飲食接待費は45万円でした)。

▼寺院関係への御布施などは約64万円です。

■観音院は御布施、宿泊料、全てを含めて5万円です。

▼葬儀社への支払いは総額で30万円を目標として努力
しています。
 葬儀の香典で葬儀費用がどうにも賄えなかった遺族は
33%、十分賄えた人は4%に過ぎないのです。

▼もし観音院の目標が成就できるならば、葬儀の際にご
遺族の負担は特別には無くなると考えていますが、その
ためには、ご遺族の協力が不可欠です。

▼そのためには、ご遺族が観音院と密接に打ち合わせを
して下さることが大切です。

▼ご遺体を搬送する時に値段を指定しないとお棺だけで
も4万円から10万円くらいまでの相違があり「よい物に
しましょうか」、「ハイそうして下さい」と深く考えず
に言われただけで簡単に目標金額を5万円は上回ります。

▼最近、東京都内では金ぴかの宮型の霊柩車は珍しくな
り、黒いワゴンが主流になっています。火葬場に沢山の
関係者が詰めかけるのも改められつつあります。

▼都市によっては宮型の霊柩車を規制しているところも
あります。

  −本人と遺族の本当の願いは
        形式にこだわらず、こじんまり−


■最後の見送りだから、銭かねを惜しまず、出来る限り
の盛大な葬儀をしたい、お坊さんの数も多くと願われる
施主も存在します。

▼お坊さんの数を多くと望まれるのは筋違いです。普通、
お寺には住職と息子さんの2人しか僧侶はいないのが普
通です。昔のことですが、僧侶を5名と望まれて大変に
困ったことがあります。
 助法を依頼すると「この忙しい時に、幾ら出してくれ
るか」と他寺院に言われ、困ったことがあります。
 止むを得ず高野山の時間的に余裕のある僧侶を4名手
配しましたが、往復の旅費、ホテルの宿泊費やら接待、
御布施などで寺には大変な赤字(当時で約50万円)を
負担したことがあります。

▼その上、遠方でもあり観光気分でも来ておられるよう
ですから、死者を弔う、遺族に同情するような気持ちを
持てと言う方が無理です。

▼この時の苦い経験が観音院の中に多くの僧侶を養成し、
他寺に依頼しなくても何時でも、何人でも僧侶が集めら
れる体制を整えようと法主さんは決心されました。

▼驚かれるかもしれませんか、観音院で執行する際に出
仕(しゅっし)している僧侶は全員が個人としては一切
布施を受け取っていません。自宅から観音院までの交通
費も自己負担です。
 ボランティアの僧侶が執行するから5万円の葬儀が可
能になったのです。
 そのボランテイアの僧侶の1人が亡くなられた時は、
一切ご遺族から布施を受けないで50名の僧侶が出仕す
る素晴らしい葬儀、葬儀に素晴らしいもないものですが、
皆さんが追悼の意識で参加しておられるので、寺始まっ
て以来の荘厳な葬儀になりました。
 観音院で修行や勉強をしてもらい、僧侶と認定してい
る方はもうすぐ100名になります。

  −雑貨とはあんまりだが
      供養を頼むだけでも親孝行者−


■最近、目を向くような出来事がありました。
 宅配便で郵送された包みの内容物に「雑貨」と書いて
あるのです。
 父親が蒸発して、行方不明となり、福祉の保護を受け
て、病院で亡くなられた。
 子供さんとしては、余程うらみやつらみがあるのでし
ょう。
 子供さんから連絡があって、現在では母親も平穏な毎
日、自分も妻子がいて、いまさら父親の葬儀は出しよう
がない。一切関係ないと福祉事務所には申し上げたが、
お骨だけは引き取りに行った。
 観音院さんが永代供養をしてあげると言われたから送
られたとのことです。
 お骨を「雑貨」と書かれたのは宅配業者の入れ知恵で、
人骨と書いたのでは扱ってもらえなかった。
 ともあれ、観音院に送られてきた以上は、どなたも差
別はありません、寺族の墓へ親族扱いとして入れて上げ
て、家族同様にご供養することにしました。

※独り住まいで暮らしておられる方はご遠慮なく観音院
 に登録して下さい。お役所の手の届かない部分を親切
 に面倒を見て上げます。亡き人の供養を丁重にするよ
 うに、生きている人はもっと丁重に面倒を見ます。
※孤独死なんか絶対にさせないように力になりたいと念
 願します。子供さんが外国におられる場合などは、子
 供さんに代わって出来るだけのことはして上げます。
 定期的に連絡するくらいは何でもないことなんです。

※寺葬儀一式5万円で出来るのは、設備負担金が皆無で、
 ボランティアが奉仕して下さる組織が出来ているから
 です。観音院はご不幸を自分のことのように受け止め、
 深く同情しているから可能になった次第なんです。
※寺葬儀には飾りつけは一切不要になっています。お棺
 と生花一対で十分です。それでも、霊柩車やその他の
 費用で葬儀社に対する支払いが30万円は必要です。
 派手なことをせず、こじんまりと葬儀を考えて下さい。


ご感想やご質問はこちらに


如是我聞 其の四