如是我聞 其の四

                  文責 能島慶華

−元気な内に、どう死ぬか考えておくこと   
      きちんとした遺言は弁護士さんと相談して−


■法主さんの遺言は簡単である。死んでも死んだと思う
な。魂魄(こんぱく)をこの世に止めて、皆さんを見守っ
て上げたい。
 だから、肉体が滅びても大騒動をするな。何時もの定
例法要で十分、親戚知人にも知らせることはない。その
場に居合わせた人だけで霊柩車で火葬場に送り、骨壺を
内持佛の中に100年置き、知っている人の道案内が全
部済んだら歴代住職の墓に入れるもよし、好きなように
とのことです。

▼生まれて来て、いろいろあって64歳にでもなれば、
ぼつぼつ死んでもおかしく無いくらいの悟りは誰にでも
開ける。

 それでなくても、日常的に、産まれて来た「子供の名
付け」の相談に乗って上げて、死なれると故人に「戒名」
を付けるのが、同時に起きるのだから、生死が同じこと
くらい実感している。
 いつも言うように、私にとっての「死ぬということ」
は「自転車で橋を一つ渡るくらいのこと」だから、怯え
たり、恐れたりすることは何も無い。幸い孤独死はでき
ない環境だが、突然死は有りうること、だから身辺の整
理は綺麗にしてあると言っておられます。

▼香典や供花は辞退すること、知人から消息を聞かれた
らチベットにでも行ってご修行中とでも、只今は瞑想中
とでも、適当に返事をしておきなさい。

▼死んだ日を祈願の日にしなさい。私の精神力を分けて
上げたいと思います。「鈴の縁日」とでも名付けなさい。
お地蔵さんの前に鈴を吊るして、私に用事がある人は鈴
を鳴らして呼ぶように教えて上げなさい。もし、観音院
の地蔵堂の前に鈴が下がったら「鈴の僧正」と皆さんか
ら愛された私が皆さんのことを心配し続けて霊魂を自由
にしたと思って下さい。深くは家族や職員に聞かないで
下さい。お悔やみの言葉なんかを言わないで欲しいもの
です。

※法主さんは皆さんを親のように思い、あるいは子供の
 ように思っておられるとのことです。借金は1円もあ
 りません。身辺は何方に見られてもよいように清潔で
 す。
 万一のことがあっても、残された人が「あらっと思う
 ような物」や「理解に苦しまれるような物」は何も無
 いように気をつけて常に整理整頓しておられるそうで
 す。

▼このようなことは、法律とは関係のない希望的遺い残
しの言葉で、私が死んだら兄弟仲良くしなさいと言うよ
うなものです。

■ところが、財産について、
法主さんのように法律に定
めてある通りにすれば良い
という考え方なら何も書き
残す必要は無いのですが、
それでは困ることがありま
す。

▼法主さんは意識が無くな
った時に、延命治療を遠慮
するとか、死後に献体する
ことはしないとか、安楽死
は未だ認められていません
が、生死をさまよっている
時に家族がどうするべきか
などについては、遺言では
なくて、意識が明確な内に
文書にしておられます。
 これは見習うべきことで、
観音院にも土壇場になって
ご家族が思い悩まれて相談
に来られる場合があります。
 
法主さんは胸像まで用意
(実はお友達の贈り物)

■財産分与などの遺言■
 財産分与などの法律的なものは弁護士さんと相談して
公正証書にされることを絶対的条件としてお勧めします。
公正証書は遺言執行人として弁護士さんを選んでおくこ
とも出来ます。自筆証書遺言は内容が無効の場合があり、
その遺言を家庭裁判所に持参する手続きの前に開封する
と無効になるなど、難しい約束事があるのでなさらない
方が無難です。無難なことは説明を省きます。

■上手に死ぬためには、意識が無くなった時、葬式など
の手配、これを1つにして遺言とは分けて考えた文書を
作って置くこと。

▼法律的な遺言は別に公正証書として作って置くことの
2つの文書を用意されることを勧めます。

  −意識が無くなった時の文書の内容
      家族に心配を掛けないように−


一、死期が近づいた時に医師から死期を告知してもらう
  こと。
  これは、むしろ親しい医師に元気な内に依頼してお
  くべきことだと思います。
  ただし、疑い深い人はそのような告知を頼んでも医
  師が断るでしょう。覚悟ができた人で、日常の生活
  態度がしっかりした人でないと無理でしょう。
一、延命措置を断ること。所謂脳死の状態になった時に、
  植物状態で延命措置を医師から受けずに死ぬる希望
  で、これは家族にも受け入れられやすい希望です。
  観音院で100人の50歳の人を選んで調査した結
  果、末期状態では82人が延命医療を止めるべきだ
  と考えておられます。
一、葬儀をどのようにするか。
  質素にするとか、近親者だけて葬儀をするとか、こ
  のようなことも意思を明確にしておかれる方が家族
  が悩みません。観音院のゴテゴテと飾りつけをしな
  いで、法主さん提唱のお棺の傍に生花一対だけで葬
  儀をしてほしいと望まれる方は100人中96人、
  家庭で普通の飾りつけで葬儀を望まれる方は僅かに
  4人です。
一、香典や供花を辞退すると断られたい方は44人、造
  花の花は有り難くないと望まれる方は実に100人
  中100人で、相当に嫌われていることが理解でき
  ます。
一、香典返しを日赤などに寄付したいと望まれる方は、
  12人、観音院の奨学資金の基金などに寄付したい
  と望まれる方が17名で、これは日赤に寄付したい
  と望まれる方12人と完全に重複しています。
一、これは遺言とは違いますが回答を寄せられた100
  人の内、96人が輪廻転生して再び現世に生まれて
  来たいと希望され、極楽浄土に往生したい、どうで
  も良い、がそれぞれ2人。100人中散骨を望まれ
  る人は2人で話題になるほど散骨を望まれる人は多
  くありません。
一、死後、あるいは脳死状態で自分の目の角膜や腎臓な
  どを他人に差し上げて役に立ちたいと願われる人は
  実は一人もありませんでした。死後に医学研究のた
  めに献体しても良いと言う人が一人。

※参考にしなさいと言う資料ではありません。

 法律的に遺言をしておくべき大切なこと
   配偶者以外に産ませた子供を認知できる−


■100人中、遺言をしている人は2名でした。1名は
絶対に匿名を条件で、配偶者以外に産ませた子供を遺言
公正証書で認知し、相手の女性と子供に渡しておられる
そうです。奥さんが長く行方不明で、いろいろ事情があ
って時間が経たないと離婚ができないし、親族関係など
が複雑で戸籍上認知して上げられない複雑な事情がある
のだそうです。

▼もう一人は「人間は何時死ぬかも分からないので、毎
年道楽のように遺言を書き換えておられる」のだそうで
す。
 遺言は何時でも書き直せますし、日付の新しい遺言が
有効になります。しかし、財産を遺贈するという遺言公
正証書を乱発して、毎年書き換えられては関係者は振り
回されます。そして最後の遺言だけが過去の遺言に優先
して有効というのは矛盾がありますね。
 ですが、大切なことですから覚えておいて下さい。

■子供のいない人に大切な遺言■
 夫婦のどちらかが亡くなった場合、例えば夫の死後、
財産の3分の1は夫の両親に行きます。もし両親が亡く
なったいる場合に子供がいる場合、夫の兄弟に4分の1
が行きます。これらの相続権がある人が生活に困ってい
る場合は別として「自分の死後は財産の全てを夫□□、
または妻○○に譲る」と書いて置くと安心です。
 親兄弟は例え相続分があっても相続放棄をすることが
実際には多いようです。

▼相続人がいない人も少なくありません。このような場
合は放置していると国庫に入ることに定められています。
 生前にお世話になった人、お寺に永代供養をお願いし
たい、福祉団体に寄付したいなどの場合は遺言公正証書
で遺言執行人を弁護士さんなどに依頼して、遺贈するこ
ともできます。
 何れの場合も弁護士さんに相談して作成しないと混乱
する場合がありますので、後に迷惑を掛けないようキチ
ンとして起きましょう。

▼弁護士さんに相談する時に財産の内容が良く分かる資
料が必要になります。土地建物の不動産登記簿の謄本と
か、債券や株券、貯金通帳などを持参すると二度足を踏
まなくて済みます。
 こしらえて貰った遺言書を公証人役場に持参して公正
証書にしてもらうと確実に遺言書としての効力が発生し
ます。公証人役場は弁護士事務所とは別の場所にあって
弁護士さんが紹介してくれます。
 詳しくは弁護士さんと相談して下さい。調べてたつも
りですが、法律の説明には慣れていません。

■借金がある人の死ぬ対策■
 家族や子供に借金を残さないためには、死後に「相続
放棄」をすれば、借金取りからは逃れられると説明して
おくことが大切です。
 葬儀代や供養料などを自分が生きている間に支払って
おく方法があります。借金が多くて葬儀も出せないとい
うことは避けられます。

▼この場合、契約書と領収書を家族の判りやすい場所に
保管して置く必要があります。

▼借金が沢山ある人が亡くなられた場合は、軽率に貯金
をおろして使ったりすると相続をしたと見做されますの
で注意して下さい、相続放棄の場合も弁護士さんに相談
すると間違いがありません。

弁護士さんを身近に思うこと
        敷居は決して高くありません

 普通に死ぬには弁護士さんは必要ありませんが財産の
ある人は弁護士さんと仲良くすることです。

  −あまり深く死ぬことを考えない   
       何時かは死ぬから、少しは気にする−


■法主さんは「人間は何時かは必ず死ぬから、少しは考
えておくことは大切。ただしあんまり考え込むと憂鬱に
なるよ」と言っておられます。
「宗教は死ぬことを、死に方を説き過ぎる、たとえば、
犬が生まれて、野犬であろうと、飼い犬であろうと、い
つかは死ぬ・・・・。そんな死に方がいいなあ」と随分
無責任なことを言われますが、実際にはちゃんと死に方
を考えておられての上での発言ですから鵜呑みにしては
いけません。

▼話は変わりますが、家族同然に可愛がっていた飼い犬
が死んで、葬儀を依頼したが、お坊さんが引き受けてく
れたが、ちょこっと読経してくれて、これでは気が済ま
ない、観音院で葬儀をやり直して欲しいと頼まれました、
人の葬儀と同じように丁重にしてあげましたところ大変
に感謝されました。

▼葬儀には2つの目的があります。
 一つは亡くなった人の供養のため、一つは遺族の心を
慰めるためです。
 そのような意味からすれば子供と同じように可愛がっ
ている愛犬の葬儀は当然のことと思いますし、人と同じ
ように執行して上げるのは当然のことで、たかが犬のこ
とで大袈裟などとは絶対に考えません。同時に、葬儀を
丁重にし、供養することによって、可愛がっていた犬の
良き輪廻転生を願うのは、飼い主として良い心掛け、と
法主さんは言われます。
 彼岸には沢山の人が観音院で可愛がっていたペットの
供養をされました。
 法主さんは動物をとても可愛がられます。また動物に
好かれる方です。動物も法主さんの性格をよく知ってい
て、町を歩かれると野良犬や野良猫が喧嘩もせずに後ろ
を着いてくることはよくあります。

※法主さんの死ぬ準備は全て済んでいるようです。です
 が、死んでも良いとは考えておられません。なすべき
 ことは、その日の内に済ませ、眠る時は明日の朝に目
 が覚めなくても良いように真面目に過ごされています。
※散骨、死んだら自分の骨を海や山など、自然に撒いて
 欲しいと希望される人は新聞などで話題になるほどに
 多くはありません。法主さんの提唱される葬儀にこれ
 だけ多くの人の賛同が得られるとは意外なことでした。

※50歳代で遺言書を書くことは未だ珍しいようです。
 遺言書を作成する時は必ず弁護士さんと相談して有効
 なものを作っておきましょう。公正証書にしておくこ
 とが大切です。その他の方法はお勧め出来ません。

※観音院は亡き人の輪廻転生を願い、残された人に同情
 して葬儀を執行します。動物の葬儀も同じ考え方で執
 行します。動物が好きな人にとっては、家族と同じよ
 うに可愛いものです。法主さんは動物に好かれます。

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